設題例
「科学の文献特性」における社会科学資料の特性12点を列挙し、資料構築と廃棄(除籍含む)のあり方を自分の考えとともに述べよ。
設題の要求
- 社会科学資料の特性12点の列挙
- その特性に基づいた資料構築と廃棄の考え方
- 自身の考えを交えた論述
回答の型:「知識提示+論述」のテーマ論述型
整理された知識の提示 → 条件(特性)を踏まえた論述
知識を使って論じさせるタイプです。
回答例
導入
社会科学とは、人間社会の諸現象を支配する法則を探求、現象を解明する学問を総称した学問分野である。本稿では、社会科学の文献の12の特性を列挙し、そのような特性をもつ資料の構築、廃棄の在り方を述べる。
知識提示
社会科学資料にはどんな特性があるか
①フィールドワーク(現地調査)を必要とすることが多い。
②社会現象を説明・解釈・批判することを目的としている。
③社会の動き、生活と密接な関係にある学問。
④人間と社会の理解に関する科目群。
⑤実用的な情報が多い。
⑥過去の文献に対する遡及調査(先人研究、史的考察など)も必要。
⑦社会観察対象の表現としての学問。社会の変化により、新しい学問も誕生する。
⑧社会が抱えている問題の探求と解決を目指している。
⑨人文科学同様、図書が第一義的な成果発表になることが多い。最終的には研究成果を図書として纏めるという傾向があるが、社会変化が激しい場合には、図書にしにくいという面がある。
⑩あらゆるものが情報源としての意味を持つ。社会現象を研究する学問なので、あらゆるものが研究材料になる。
⑪動きが早い情報が多くなる。社会変化は日進月歩。その変化に合わせた情報が学習・研究材料になる。
⑫10年経過すると劣化しやすい。社会科学の中でも、情報の動きが早い分野の図書や雑誌記事・論文は、10年を経過すると価値を失う傾向がある。
論述
特性が引き起こす実務上の問題に対する資料構築・廃棄のありかたを自分の言葉でまとめる
これらの特性から、社会科学分野の資料構築においては、図書と比較して速報性が高い雑誌記事や、時事的なニュースや報道、評論などを各新聞社で比較可能な新聞記事が利用されやすい。一方で、例えば対象となる社会現象の変遷や歴史など、過去に対する遡及調査が必要となる場合もあるため、出版から10年経過した図書を除籍する、と一律に決めることもできない。
こうした特性を踏まえると、速報性と過去の時事の検索性を両立させる手段として、MagazinePlusや朝日新聞クロスサーチなどのオンラインデータベースをはじめ、媒体を組み合わせた活用が有効である。その時代を反映した記事を比較・収集できるデータベースは、社会科学分野の研究に欠かせないものであると考えられる。
図書に関しては、内容を精査したうえで、廃棄の是非を慎重に検討すべきである。例えば、その地域の過去の様子がわかる地域資料、歴史的な事実を踏まえたうえで現代社会を考察している図書などは、これから先に変化が起こっても十分に参考資料となる。一方で、例えばまちづくりの分野で極めて優良事例を取り上げた本などが存在するが、10年後にそのまちづくり政策が継続されていない場合など、方針変更までの過程まで記されていなければ、その図書は今後活用される機会は少ないと考えられる。
定量的に一律化しにくい基準であるが、資料の構築と廃棄の両面において図書館員の専門性により、将来的な利用可能性を見極めることが求められる。


